今日は、二十四節気のひとつ「大寒」。一年で一番寒さが厳しくなる時期とされています。小寒から立春の前日までを表す「寒」の時期は、味噌や醤油、あるいは日本酒などの発酵食品の仕込みに適しており、「寒仕込み」と呼ばれています。「寒仕込み」は寒さで雑菌が少ないことや熟成がじっくりと進むのが特徴です。
木の味噌樽と陶器の味噌瓶
今回はそんな「寒仕込み」の中から「味噌づくり」に目を向けてみました。
味噌づくりの容器として目にする機会が多いのは、木でできた味噌樽と陶器でできた味噌瓶(かめ)のふたつではないでしょうか。水分が漏れたり劣化することがない味噌瓶は漬物や梅干しなどにも使うことができて便利ですが、味噌にほんのり木の香りが移る味噌樽には独特の魅力があります。菌が住みついて味の深みとなりそれぞれの個性が作られていくそうです。
風呂桶ならヒノキ、寿司桶ならサワラが有名ですが、味噌樽では香り高いスギが人気で、竹の箍(たが)で束ねているものが主です。
はじめて使う場合や、久しぶりに取り出した時には、中に水を張ってしばらく置くのもポイント。水分を含んで木が少しずつ膨張することで漏れを防ぐそうです。樽の側面や内側の汚れが気になったとしても、変色の原因となるため合成洗剤の使用は避けてください。
そんな時こそたわしの出番です。
今回のおすすめは定番の「亀の子束子」。しっかり擦りたい時にはかためのパーム素材が適しています。
使用している繊維の質や密度は、厳密な検品をしているので、樽の内側をゴシゴシと洗っても、抜け落ちた繊維が付着してしまうことが少なく、食品製造の現場でも業務用として高い信頼を得ています。
外側の竹がささくれて気になる時も、たわしで擦ることでいくぶん整います。(素手でのお取扱いには十分にご注意ください)
味噌樽のいちばんのお手入れは使い続けることと言われています。長く使いつづけることで、菌が移り風味も増していきます。保管している間も直射日光や冷暖房が効いた部屋は避け、室内に置くと良いそうです。
適切に使い続けることで、味噌樽は何十年も持つそうです。今お持ちの味噌樽は一生ものだという方もいらっしゃるかもしれません。大きな樽や小さな樽、それぞれの大きさとスタイルにあわせて、お手入れの束子とともに、長くお付き合いいただければ幸いです。