たわしの主な素材はパーム(ココナッツ繊維)

たわしの主な素材となる椰子(やし)の種類は、世界に2,000種近くあるといわれ、主として熱帯地方に分布しています。 日本で生育するものとして、シュロ、シュロチク、カンノンチク、などがありますが、熱帯で裁植される椰子のなかで最も有用なものはココヤシです。亀の子束子ではココヤシの繁殖力と供給の安定度から、その実(ココナッツ)から取り出したパームを、たわしの原料として着眼しました。

現在でも、元祖亀の子束子をはじめとした多くのシリーズに、パームは使用されています。

ココヤシの実(ココナッツ)がたわしの材料になるまで

採集されたココナッツは中身をとり、殻を3~4つに割って4~6週間の間水につけます。
これを、掻解機にかけて、繊維と外皮を分離した後に、水洗いすると剛毛となります。

この繊維を櫛けずりにより揃えて、品質の等級がつけられ断裁します。

亀の子束子に使用するココナッツ繊維は、高品質の等級がつけられたものだけを選別して使用しています。大体ココナッツ1個から亀の子束子1号がひとつが出来上がるとされています。未使用になった部分は、帯縄等の別の用途で使用します。

棕櫚(シュロ)

初代西尾正左衛門が亀の子束子を開発するきっかけとなった「棕櫚(シュロ)」は日本国内に生息する椰子の種です。
第二次世界大戦当時、パームの輸入が不可能となった際には代用として棕櫚を使った束子を作るようになりました。現在でも、「極〆」シリーズをはじめとしたたわしに利用されています。
当社の門の横に立っているのはこの棕櫚(シュロ)の木です。

棕櫚繊維は、古くから魚網、つるべ井戸の縄、竹垣を縛る縄、運搬・荷造り用・建築用の縄やロープとしと利用されていました。
茶室やお寺などに使用される棕櫚皮を裏床にあてがった畳は湿気に強く、20年たっても棕櫚皮部分の傷みはほとんどなく、畳床としては最高級と言われています。

厳選されて整えられた繊維は工場に運ばれます。そして熟練した職人によって「断裁」「棒巻き」「刈込み」「仕上げ」の工程を進んで、たわしとなります。